ブックタイトルLABORATORY_vol1

ページ
687/704

このページは LABORATORY_vol1 の電子ブックに掲載されている687ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

LABORATORY_vol1

R ef er en c e D a t aRI実験室の設計について687ドラフトチャンバー●RI実験室とはラジオアイソトープ(RI)を取扱う実験室は「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」に基づき,この基準を満たす施設を有し,かつ法律で定められた使用方法に従い,放射線障害の防止に万全を期すことが要求されています。RIを取扱う実験室は管理区域を設定し,他の部分とは独立させ厳密に管理できる施設となります。施設基準については同法の施行規則に定められていますが,一般実験施設と異なる要点は次の通りです。◎他の部分とは独立した,管理区域を設定する。◎管理区域への出入り口は1箇所として,汚染検査室を設置する。◎管理区域は陰圧として,RIを含む室内空気が外部に漏出しないようにする。◎内部仕上げは平滑なもので,ほこり溜まりとなる凹凸は極力避ける。◎耐火構造または不燃材料で作られた施設であること。◎RI排水処理設備,RI排気処理設備を有する施設であること。●設計における検討内容RIを使用する施設を設計するときには,その施設の使用目的とそこで行なわれる作業の危険度および研究用であるかなどを十分に考えなければなりません。また化学実験のように比較的汚染の制御しやすいものか,動物実験のように汚染が制御しにくいもの,または空気中に飛散しやすいものであるかなどで設計上の方針がかわってきます。トレーサー実験を主体としたRI実験室では比較的少量のRIを用いるため,予想される障害としてはRIが人体に付着したり体内に摂取されたり(内部被曝)する障害です。この対策としては,◎放射線の遮へい。◎実験室の床,壁などの表面汚染の防止,そのための表面材料の選定。◎空気汚染の防止,そのための排気設備の設置。◎水汚染の防止,そのための排水設備の設置。◎放射性廃棄物の処理。◎燃えにくい建物構造にし,火災などの緊急時の被害を限定。◎その他放射線安全設備,防災設備の設置など。●特に考慮すべき対策・放射線対策放射線による障害には,体外にある放射線源からの外部被曝によるものと飲食,呼吸または皮膚から体内に入ったRIの放射線による内部被曝によるものがあります。外部被曝は放射線源を遮へいすることにより防止できますが,内部被曝はRIを体内にとり込ませないようにしないと防止できません。・表面汚染対策RI実験室の床,壁や天井などはRIの汚染を洗い落すことができるような材料を用いて作らないといけません。たとえばビニールタイル張,板張,はだかのコンクリート仕上げなどは避けます。床や壁面は水で洗えるような仕上げが望ましく,目地や継ぎ目があって薬品や水がしみ込むことのないよう仕上げます。材料の耐薬性などは十分検討する必要があります。これらのことは実験台,流し,フードなどについても注意すべきであり,実験台の甲板,流し,フードの材質は十分検討し,洗浄しやすく耐久度のあるものを選ばなくてはなりません。・空気汚染対策RIは気体として放出され実験室の空気を汚染します。たとえば,光合成実験など14 CO2のガス,3 H2Oを用いるときなど水蒸気として,また他の核種を扱う場合でも蒸気や軽い微粒子として空気中に浮遊することがあります。このために空気の汚染の可能性があるRI実験室には排気設備を設けねばなりません。排気口では排気浄化装置を通して放射性物質などは取除き,排気される空気を連続測定,監視します。排ガス処理装置排風機実験台戸棚・薬品庫・ワゴン医学研究検査施設クリーン関連設備・汚水対策密封されていないRIを用いて実験しますと,実験器具の洗浄などにより排水中にRIが含まれることになります。RIで汚染された排水は,一般排水系と独立したRI専用の排水系に流し,貯留槽に集め,排水基準以下の濃度であることを確かめた上で放出します。実験系に使ったRIを含む試料液は,液体廃棄物容器に集め,排水系とは別に処理します。RI実験室ではRlを含む排水の他に,アスピレータの水,冷却水などのような通常の排水も多量に出ますので,一般排水系(コールド)とRI用排水系(ホット)の二系統の排水系を設置する必要があります。密封されていないRIを使用する場合には,RIの種類,量,取扱法などによって,施設をレベル区分し,その区分に対応して,設計すると便利です。低レベルの作業を行なう場合には,設備はあまり完全にしなくてよいのですが,高レベルの場合には,障害防止の設備を完全にすることが要求されます。放射線障害防止法では,施設を区分する目安として次表のような分類がなされています。(放射線を放出する同位元素の数量及び濃度)放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令(以下「令」という。)第一条に規定する放射線を放出する同位元素の数量(以下「下限数量」という。)及び濃度は,次の各号に掲げる区分に応じ,当該各号に定める数量及び濃度とする。放射線を放出する同位元素で密封されたもの放射線を放出する同位元素を密封した物一個(通常一組又は一式をもつて使用をする物にあつては一組又は一式とする。)に含まれている放射線を放出する同位元素について,次に掲げる場合の区分に応じ,それぞれ次に定める数量及び濃度RI施設グローブボックス実験動物施設・設備一イロ放射線を放出する同位元素の種類が一種類の場合別表第一の第一欄に掲げる種類に応じて,同表の第二欄に掲げる数量及び同表の第三欄に掲げる濃度放射線を放出する同位元素の種類が二種類以上の場合別表第一の第一欄に掲げる種類ごとの放射線を放出する同位元素の数量のそれぞれ同表の第二欄に掲げる数量に対する割合の和が一となるようなそれらの数量及び同表の第一欄に掲げる種類ごとの放射線を放出する同位元素の濃度のそれぞれ同表の第三欄に掲げる濃度に対する割合の和が一となるようなそれらの濃度廃水処理装置放射線を放出する同位元素で密封されていないもの工場又は事業所に存する放射線を放出する同位元素の数量及び容器一個に入つている放射線を放出する同位元素の濃度について,次に掲げる場合の区分に応じ,それぞれ次に定める数量及び濃度メンテナンス二イロ放射線を放出する同位元素の種類が一種類の場合別表第一の第一欄に掲げる種類に応じて,同表の第二欄に掲げる数量及び同表の第三欄に掲げる濃度放射線を放出する同位元素の種類が二種類以上の場合別表第一の第一欄に掲げる種類ごとの放射線を放出する同位元素の数量のそれぞれ同表の第二欄に掲げる数量に対する割合の和が一となるようなそれらの数量及び同表の第一欄に掲げる種類ごとの放射線を放出する同位元素の濃度のそれぞれ同表の第三欄に掲げる濃度に対する割合の和が一となるようなそれらの濃度技術資料さくいんhttp://www.shimadzu-rika.co.jp/